はじめに (胃がんについて)
胃がんは、国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によると、男性はおよそ10人に1人、女性はおよそ21人に1人が、一生のうちに胃がんと診断されています。(2019年データに基づく累積罹患リスク)
また、国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)では、胃がんはかつて日本人のがんによる死亡数の第1位でしたが、最近は診断方法と治療方法が向上し、男性では第3位、女性は第5位となっています。
男性は27,196人、女性は14,428人の方が胃がんで亡くなっています。(2021年)
つまり、胃がんは早期発見すれば治る可能性が高いということです。
ですから、毎年のタイミングで自身の健康と向き合える
健康診断はとても重要です。
そして、早期発見にも繋がりますので、毎年の健康診断で胃の検査は受けておきましょう!!
胃カメラ?バリウム?どっちを受ける?
私が仕事をしていても、
「胃の検査はやった方がいいって聞くけど、どっちがいいんですか」
「どっちの検査がいいんですか?カメラを入れるのは怖いのでバリウムにしたいんですが」
など、受診者さんから胃の検査をカメラかバリウムのどちらにするか悩まれ相談されることもあります。
ではどちらがいいのでしょうか?
胃カメラ検査について
胃カメラ検査には、次のようなメリットがあります。
・食道がんや胃がんの早期発見に不可欠な検査である
・胃粘膜の凹凸や形状、色まで確認できる
・胃カメラで直接病変を確認できるため、正確な診断が可能です検査内で細胞を採取することができる
・被ばくの影響がない
・吐き気や不快感を軽減する経鼻内視鏡がある
・胃がんの原因となるピロリ菌感染がわかる
胃カメラ検査は、食道や胃、十二指腸の幅広い疾患の確定診断につながる検査です。胃カメラはバリウム検査と比べて多くのメリットがあり、特に早期発見に優れています。
胃カメラ検査では、口から内視鏡を入れて直接食道、胃、十二指腸と医師が目で観察します。
胃カメラは適切な処置、麻酔を用いれば、ほとんど苦痛なく検査を行えます。特に鼻から内視鏡を通す「経鼻内視鏡検査」では、口からの胃カメラに比べ、刺激や痛みがほとんどありません。
反射が強くてオエオエしてしまうからカメラなんてできない。
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、鎮静をかけて寝ている間に検査ができるところもあります。(病院によってできないところもありますので、予約の際に問い合わせてみてください)
しかし、鎮静をかけて行うため、その薬の効果が切れるまでベッドでしばらく休まないといけないというデメリットがあります。
最近はそういった「呼吸抑制」のリスクがあるため、行わない病院が増えてきています。
バリウム検査について
バリウム検査には、次のようなメリットがあります。
・胃がんや食道がん、胃潰瘍、胃炎、ポリープなどの発見に有用である胃の全体像を把握できる胃の動きを観察できる
・胃カメラ検査と比較して検査時間が短く、費用も安価である
バスによる巡回検診も可能であるバリウム検査は、消化管内に造影剤であるバリウムを注入し、レントゲン写真から診断を行う検査です。
バリウムは腸液や胃液に溶けず、消化器官から吸収されないので、基本的に体への害はありません。便として排出されます。
ただし、バリウム検査には次のようなデメリットもあります。
・バリウムや発泡剤が飲みづらいゲップを我慢するのがつらい
・重力や消化管の働きによって流れてしまうため、再現性の低さがある胃の内部の詳細な観察や組織の評価は難しく、胃がんやポリープのような細かい異常を見逃す可能性がある
・レントゲン検査の被爆のリスクがある
・便秘がある人には不向き
結局おすすめできるのは「胃カメラ」
バリウム検査は胃の表面の凸凹を全体的に見るには適していますが、何か所見があれば細かくみていく必要がありますので、結局は胃カメラ検査を勧めることになります。
胃カメラでがんの発見に繋がるポリープだけではなく、胃がんの原因となるピロリ菌の感染や炎症が起きているかなどもわかります。
つまり精度が高いのは胃カメラ検査ということです。
胃カメラ検査を受けましょう
健康診断などで胃の検査が受けられる場合はぜひ胃カメラ検査を受けておきましょう。
集団検診などはバリウム検査しか受けられないところもあるかもしれません。そういったところでも、極度の便秘やアレルギーがない限りはバリウム検査を受けておくことがお勧めです。
そして、受診勧奨された場合は早期に胃カメラ検査を受けておきましょう。
症状がある場合は内科へ
胃カメラ検査を受けるのは、健診のタイミングだけではありません。
・胃が痛い
・ムカムカする
・胸焼けがする
などの症状は、胃の病気の可能性があります。胃カメラ検査を受けるかどうかは医師の判断になりますが、症状によっては内服薬を処方してもらえます。
我慢せずに症状がある場合は受診して相談してみましょう。
さいごに(健康診断を受けましょう)
何事も早期発見が大切です。
自分の身体は自分でしか守れません。
仕事のパフォーマンスを上げたり、
楽しく遊んだり、
やりたいことをやるためには「健康」は必須です。
年に1度の健康診断のタイミングで自分の健康状態を振り返り
生活習慣を見直して、将来の自分の健康に投資をしていきましょう。
私はその病気になる手前の「予防医学」の分野に携わる仕事ができてとてもやりがいを感じています。
皆さんがもっと「健康」に目を向けてもらえるように発信ができたらいいなと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
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