はじめに
健康的な働き方は、あなたの仕事の質ややりがいを向上させ、QOL(生活の質)を高めることに繋がるでしょう。 そのために、まずはオフィスでの働き方が、あなた自身の 健康状態に深く影響していることを理解しましょう。
前回の記事で述べました、健康を保持増進する7つの行動を意識して取り組んでいきましょう。
何気ない行動の変化であったとしても、きっとあなたの生活をより豊かなものにしてくれるはずです。
仕事のパフォーマンスが上がらない方へ
仕事のパフォーマンスが上がらないと感じているあなたは、もしかすると健康を保持増進する7つの行動のどれかに見直しが必要なのかもしれません。
「プレゼンティーズム」と「アブセンティーズム」
プレゼンティーズムとは「会社に来ているけれど業務効率が落ちている」状態
プレゼンティーズム(presenteeism)は「疾病出勤」という意味の英単語。
いわば、プレゼンティーズムとは「出社しているものの、何らかの健康問題によって業務効率が落ちている状況」であります。心身に不調をきたしている状態であるため、業務パフォーマンスが十分に発揮できず、生産性が低下してしまいます。
したがって、企業にとって「可視化されづらい損失」ともいわれています。
アブセンティーズムとは「仕事を休業/欠勤している」状態
アブセンティーズム(absenteeism)とは「仕事を休業/欠勤している状態」という意味の英語。
心身の不調により、遅刻や早退、就労が困難な欠勤や休職など、業務自体が行えない状態を指します。
プレゼンティーズムとは異なり「休業している」という状態が可視化されている損失であります。
例えば、アブセンティーズムの状態である従業員が1人いた場合には、その分のマンパワーは不足するため、他の従業員の業務量が増加する等が考えられます。
これらを招く原因
運動器・感覚器障害
頭痛、腰痛、肩こり、関節炎、眼精疲労
メンタルヘルス不調
メンタルストレス、ワーク・エンゲイジメント(働きがい)、うつ病 、不眠
心身症
動機・息切れ、胃腸の不調、食欲不振、便秘・下痢 (※心身症の内、ストレス性の内科疾患) 、月経・月経前症候群(PMS)
生活習慣病
肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、脳卒中、心臓病
(二日酔い)
感染症・アレルギー
風邪、インフルエンザ、花粉症、呼吸器の不調、その他アレルギー
可視化されにくい「プレゼンティーズム」
様々な評価方法がありますが、今回は1つ紹介します。
プレゼンティズムの損失額は「WHO-HPQスケール」を用いて算出できます。 「WHO-HPQスケール」とは、世界保健機関(WHO)が提供している「健康と仕事のパフォーマンスに関する調査票(HPQ)」から、3つの質問を使って損失コストの計算に必要なプレゼンティズムを算出するものです。 質問は以下の3つです。 ◾️質問 【問 B9】0があなたの仕事において誰でも達成できるような仕事のパフォーマンス、10がもっとも優れた勤務者のパフォーマンスとした0から10までの尺度上で、あなたの仕事と似た仕事において多くの勤務者の普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか? 【問 B10】 同じ0から10までの尺度上で、過去1-2年のあなたの普段のパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか? 【問 B11】同じ0から10までの尺度上で、過去4週間(28日間)の間のあなたの勤務日におけるあなたの総合的なパフォーマンスをあなたはどのように評価しますか? ◾️計算方法 数値を導き出して計算します。 プレゼンティズムには2種類あり、健康リスクとの相関を見るための「絶対的プレゼンティズム」と、健康による損失コストを計算する「相対的なプレゼンティズム」です。それぞれの値を算出する方法は以下です。 絶対的プレゼンティズム=問 B11*10 (範囲=0-100%) 相対的プレゼンティズム=問 B11/問 B9 (範囲=0.25-2.0) ※0.25>は 0.25 に、2.0<は 2.0 にレンジ修正 プレゼンティズムコストは、「プレゼンティズム損失割合×賃金(円)」によって算出します。
「健康経営」の枠組みに基づいた保険者・事業主のコラボヘルスによる健康課題の可視化
「プレゼンティーズム」による企業損失
プレゼンティーイズムによって業務パフォーマンスが低下した場合、どれだけ企業は損失を被ってしまうのでしょうか?
健康リスクに基づいて従業員を「低リスク群」「中リスク群」「高リスク群」の3つに分類したとき、「低リスク群」ではプレゼンティーイズムによる年間損失が約50万円、「中リスク群・高リスク群」ではプレゼンティーイズムによる年間損失が約70万円にのぼると推定されています。
(参照:厚生労働省「データヘルス・健康経営を推進するためのコラボヘルスガイドライン」)
ちなみに3つの分類について、国内企業の70%は低リスク群、30%は中リスク群・高リスク群という結果に入るのだといいます。つまり、例として次のような試算ができます。
例)1,000名の従業員を抱える企業の場合
・低リスク群……700(人)×50(万円)= 3億5,000万円の損失
・中・高リスク群……300(人)×70(万円)= 2億1,000万円の損失
→合計で約5億6,000万円の損失
この企業で、仮に「中リスク群・高リスク群」の200名が「低リスク群」へと改善された場合、年間の損失は約5億2,000万円となりますので、約4000万円のコスト削減ができるということになるわけです。
経営者や管理の方へ「効果的な就労支援」を!
従業員の健康意識を高めて生活習慣の改善を促していくことで、ある程度プレゼンティーイズムを改善することはできるはずです。
しかし、残業指示による睡眠時間の低下や、希望とは異なる時間帯での勤務など、企業側のアクションによる従業員への悪影響も忘れてはなりません。どこに要因があるかをしっかりと把握したうえで、従業員のプレゼンティーイズムに対する意識を高め、健康問題を解決するための教育をしていくことが必要になるのです。
企業が目指すべきは、そういった健康経営への取り組みを進めることです。
プレゼンティーイズムを減らしていくためには、健康診断による従業員の健康状態の把握・管理だけでなく、効果的な就労支援が必要になるのです。
アブセンティーズムの方へ
ご自身でアブセンティーズムと感じる方は、
健康を保持増進する7つの行動を見直して、生活改善に務めましょう。
「健康を保持・増進する7つの行動」 簡易チェックシートというものもネットにありますので、活用すると把握しやすいかと思います。
今回の記事も経済産業省の健康経営オフィスレポートを参考にしました。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeieioffice_report.pdf経済産業省の健康経営オフィスレポート
自分の健康は自分で守る!!!
あなたが1日でも長く健康な日々を過ごせますように・・・❤️
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