はじめに
人間の身体は、血液が循環したり、筋肉を動かして熱を作ったりすることで、体内からも守られています。血液の循環が悪かったり、筋肉量が少なかったりすると、温まりにくい「冷えやすい身体」になってしまいます。そもそも血液の量が不足していれば循環も悪く、毛細血管の先までちが届かないため、手足の冷えも招きます。今回はこの血行不良の原因についてお伝えします。
冷えと自律神経
自律神経の乱れと冷えは大きく関係があります。自律神経は血管を収縮させる「交感神経」と、血管を拡張させる「副交感神経」の2つで構成され、2つがバランスよく切り替わることで、体調を整えています。
交感神経の役割
交感神経の役割は以下のとおりです
・瞳孔を広げる
・気管支を拡張する
・心臓の動きを活発にする
・胃腸の働きを抑える
・血管を収縮させる
副交感神経の働き
副交感神経の働きは以下のとおりです
・瞳孔を小さくする
・気管支を収縮させる
・心臓の動きを穏やかにする
・胃腸の働きを促す
・血管を拡張させる
血行不良の原因
血行不良の原因を以下に載せました。
・運動不足
・筋肉不足
・脂肪過多
・血液、鉄分不足
・子宮、卵巣と月経
・自律神経の乱れ
・ホルモンバランスの不調
・食生活の乱れ
・ストレス
・便秘
・喫煙
・薄着、衣類の締め付け
あなたはどの原因が当てはまりましたか?原因は一つだけではなく、いくつかが合わさっていることも考えられます。それでは詳しく説明していきます。
運動不足
ずっと同じ姿勢でいると、血液の流れが滞り、全身への循環が悪くなります。さらに、慢性的な運動不足は動脈硬化や血管の老化を早め、手足の毛細血管に血流が届きにくくなってしまいます。
筋肉不足
筋肉は動かすことで熱を発生させ、その熱を蓄える機能を持っています。筋肉量が減ると、体内で効率よく熱を産生できないうえ、産生した熱を蓄える場所も少ないため、身体を温めにくくなります。
脂肪過多
女性は男性に比べて、筋肉量が少ない傾向にあります。脂肪には、血管が少ないため体内を温める機能が低く、外気温の低下の影響を直に受けて冷えてしまいます。脂肪が多い=冷えやすい身体なのです。
血液、鉄分不足
鉄分は、血中の赤血球に含まれる「ヘモグロビン」の成分となります。ヘモグロビンには全身に酸素を運ぶ大切な役割があり、鉄分不足でヘモグロビンの合成が低下してしまうと、全身の血液が不足して貧血になります。
子宮、卵巣と月経
女性は子宮や卵巣などがあるため、内臓の血流が滞りやすい傾向があります。月経時は血液を排出するため基礎体温が低くなり、血液に粘りが出て血流が悪くなるため、身体は冷えやすくなります。
自律神経の乱れ
自律神経には体内の血流を調節し、体温を適度に保つ働きがあります。ストレスや睡眠不足、昼夜逆転などの不規則な生活は、自律神経の乱れを引き起こし、その働きを低下させ冷えを起こします。
ホルモンバランスの不調
閉経前後には、自律神経を活発化させる女性ホルモン「エストロゲン」が減少し、自律神経の働きが低下します。これにより身体にさまざまな症状が現れるのが更年期障害です。冷え症もその症状の一つです。
食生活の乱れ
身体を冷やす冷たい食べ物や飲み物はもちろん、甘いものやファストフード、スナック菓子など、いわゆる「ジャンクフード」の食べ過ぎも、血流を促すミネラルやビタミン不足を引き起こし、冷えの原因となります。
ストレス
緊張状態やストレス状態が続くと、知らず知らずに身体がこわばり、筋肉が硬直化します。結果、血行が悪くなり、血液がドロドロになり、体内に血液が行き渡らず冷えを引き起こします。
便秘
腹部が冷えると腸の血流が悪くなり、便を体外に押し出す腸の「蠕動(ぜんどう)運動」の動きが低下して、便秘を引き起こしやすくなります。腸にべんが溜まった状態は、腹部全体の血流を妨げ、さらに冷えを招きます。
喫煙
喫煙すると血管は急激に収縮し、血液の流れが悪くなります。急激な血管の収縮が繰り返されることで血行不良になり、冷えを呼びます。動脈硬化や血管の老化も早まり、身体の代謝も低下します。
薄着、衣類の締め付け
薄着や、手首、足首、首といった冷えやすいポイントが露出している服装は、身体を冷やします。また、締め付けの強い下着や衣類、ピッタリした服装も血行不良を招き、冷えを引き起こします。
おわりに
こうしたさまざまな生活習慣の積み重ねも冷えにつながる可能性があります。今回挙げた原因に該当した項目の生活習慣を見直し、身体の冷えを予防していきましょう。
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