はじめに
健康診断などで血圧を指摘されたり、血圧が高いけれど、自覚症状がないから大丈夫と放置してしまっていませんか?高血圧は自覚症状が出にくく、脳出血や心筋梗塞、腎臓病などを引き起こしてから治療をされるという方も少なくありません。その間にも細い血管には傷害が出ています。また、血圧の相談をして治療をしたが、なかなか血圧が下がらないから中断してしまっている方もいませんか?そういった方は二次性高血圧が潜んでいるかもしれません。今回はこの二次性高血圧について紹介していきます。
1. 二次性高血圧とは?
高血圧は、心臓や血管に大きな負担をかける病気ですが、その中でも「二次性高血圧」は特に注意が必要です。二次性高血圧は、腎臓の疾患や内分泌系の異常等特定の原因によって生じる高血圧です。高血圧全体の5%〜10%が二次性で、ほとんどは一次性高血圧(本態性高血圧)と診断されます。
高血圧を指摘され、以下の生活改善を行っても改善されなかったり、一次性高血圧の治療をしても血圧の改善がみられない場合は、二次性高血圧を疑うといった流れで診断をしていくため、原因を特定するのに時間を要することがあります。
生活習慣等が原因で血圧を上げる原因
- 食塩の摂りすぎ
- 加齢による血管の老化
- ストレス
- 過労
- 運動不足
- 肥満
- 遺伝的要因
血圧が高い場合、まずは上記の生活習慣を見直したり、降圧剤の内服で様子をみます。その際にも家庭血圧の管理はとても重要です。
血圧が高いということは、血管に強い圧力がかかり、血管の壁が傷つき、次第に厚く硬くなります(動脈硬化)。動脈硬化は全身の血管で進行するため、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病など命に関わる重大な病気の原因となります。
いずれも一次性でも二次性でも血圧を下げる必要があります。
2. 二次性高血圧が発生する仕組み
原発性アルドステロン症
二次性高血圧の代表的な病気は「原発性アルドステロン症」です。
この病気を例に、メカニズムについて以下説明していきます。
- 副腎機能の低下:体内のナトリウムを保持する「アルドステロン」というホルモンを分泌する「副腎」に地さな腫瘍(ほとんどが良性であることが多い)ができる。
- ホルモンの異常:特定のホルモンが過剰に分泌されることで、血圧が上昇します。
ホルモンの働き
アルドステロン:体内のナトリウムと水分が過剰になり、血圧が上昇します。
カテコールアミン:血管が収縮し、血圧が上昇します。 - 血管の変化:動脈硬化などにより血管が狭くなることで、血流が増加し、高血圧を引き起こすことがあります。
原発性アルドステロン症の治療
原発性アルドステロン症では、腫瘍とともに、副腎を摘出します。
腫瘍ができた副腎を手術で摘出すると、アルドステロンの分泌が抑えられて血圧が下がります。
手術に抵抗がある場合は、「アルドステロン拮抗薬」という薬で対応することもあります。
3. 二次性高血圧の原因
二次性高血圧の原因は多岐にわたります。主なものには以下のようなものがあります。
- 腎疾患:慢性腎疾患や腎動脈狭窄など。
- 内分泌疾患:クッシング症候群や甲状腺機能亢進症。
- 薬剤の影響:特定の薬剤(例:ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬)が高血圧を引き起こすことがあります。
4. 二次性高血圧の危険性
二次性高血圧は、放置するとさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。具体的には以下のような危険性があります。
- 心疾患:心不全や心筋梗塞のリスクが高まります。
- 脳卒中:高血圧による脳卒中のリスクが増加します。
- 腎不全:腎機能が悪化し、最終的には腎不全に至ることもあります。
5. 早期発見の重要性
二次性高血圧は、通常の健康診断では見逃されがちです。症状が出るまで気づかないことが多いため、定期的な血圧測定が重要です。特に、次のような場合には医療機関を受診することが勧められます。
- 突然の血圧上昇
- 頭痛やめまいを伴う高血圧
- 家族に高血圧の人が多い場合
6. 二次性高血圧の予防と対策
二次性高血圧の予防には、生活習慣の改善が不可欠です。以下のポイントを心がけましょう。
- バランスの取れた食事:塩分を控え、野菜や果物を多く摂るようにします。
- 適度な運動:定期的な運動を取り入れ、体重管理を行います。
- ストレス管理:ストレスを軽減するための趣味やリラクゼーション法を見つけましょう。
- 禁煙:タバコのニコチンが交感神経を刺激し、血圧を上昇させてしまいます。さらに動脈硬化も進んでしまうので、禁煙することが重要です。
- 定期的な健康診断:特に高血圧の家族歴がある方は、定期的な健康診断を受けることが重要です。
7. まとめ
二次性高血圧は、他の疾患が原因で発生するため、早期発見と適切な対策が重要です。危険性を理解し、生活習慣を見直すことで、予防につなげることができます。血圧が高いけれど症状がないから、治療をしても血圧が下がらないからと放置せず、セカンドオピニオンを活用しながら原因を探っていくことが重要です。健康な生活を維持し、定期的に血圧を測定することで、二次性高血圧のリスクを減らしましょう。
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8. 参考文献
- 厚生労働省. (2020). 高血圧症の診断と治療に関するガイドライン.
- 日本高血圧学会. (2021). 高血圧治療ガイドライン.
- Mayo Clinic. (2023). Secondary hypertension: Causes and risk factors.
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