はじめに
健康診断で「胃がん」検診では、胃カメラ検査かバリウムを選択することができます。「バリウム検査」は会社へバスが来てくれる集団検診などで手軽に受けることができます。
手軽な検査ではありますが、「バリウム検査」を受けるにあたり、注意点がいくつかあります。特に便秘がある方は要注意です。今回は、バリウム検査の注意点について、特に便意の人の危険性についても交えて説明をしていきたいと思います。
バリウム検査とは バリウム液を胃の表面につけて凹凸をみる検査
バリウム検査は、消化器官(特に胃や腸)の状態を調べるために行われる医療検査の一つです。以下のように説明します。
手順
- 準備: 検査前に、患者は一定期間食事を控えます。(21時以降は絶食でお願いします)
- バリウム飲用: 特殊なバリウム液を飲みます。この液はX線を吸収するため、X線写真で明確に映ります。
胃を膨らませるため、バリウム液と一緒に発泡剤が混ざっています。
「ゲップ」を我慢する必要があります。
- X線撮影: バリウム液が消化器官を通過する様子を、X線写真やCTスキャンで撮影します。
バリウム液を胃の表面を浸す必要があります。色々な方向にからだを傾けて撮影をします。気分が悪くなってしまう方もいますので。すぐにスタッフへ教えらせください。
目的
- 胃や腸の異常: 潰瘍、炎症、腫瘍などの異常を検出します。
- 構造異常: 腸の狭窄や曲がりなどを確認します。
ここで何か所見があれば、2次健診の案内となり、
内視鏡(胃カメラ)検査をお勧めされます。
バリウム検査で気をつけたいこと
バリウムに対するアレルギー
バリウムに対するアレルギーがある場合は、事前に医師に報告してください。
また、発泡剤にフレーバーをつけている場所もありますので、食べ物やお薬のアレルギーがある場合も、事前に報告をしてください。
メロンアレルギーの方が、メロンフレーバーの入ったバリウム液を内服して、アレルギー症状が出てしまったという事例もありました。
腹痛、下痢、便秘などの副作用
一時的な下痢や腹痛がこることがあります。便秘になることもあります。
気分が悪くなってしまうことも
バリウム液を胃に浸して、様々な方向から体勢を変えて撮影を行います。
あちこちとからだを動かすため、気分が悪くなってしまうこともあります。
特に、血圧が高い方、空腹で気分が悪い方などは検査中に気分が悪くなってしまうことがありますので、スタッフへ相談をしておきましょう。
実は恐ろしい、バリウム検査後の「便秘」
検査終了後はバリウムを体外へ排泄させるため、下剤を内服していただきます。
なぜバリウムは便秘になるの? 3つの理由を紹介
バリウムは以下の3つの理由で便秘を引き起こしやすくします。
バリウム液が腸で詰まってしまうと「腸閉塞」という病気になってしまいます。
そのため下剤を飲んで排便を促します。時には下痢になってしまうこともありますが、排便し終えることが大切です。
- 水分吸収: バリウムは非常に水分を吸収しやすい物質です。体内で水分を吸収することで、便が硬くなり、排便が困難になることがあります。
- 腸の動き: バリウムは腸の蠕動(運動)を抑制する可能性があります。これにより、便が腸内で滞留しやすくなり、便秘を引き起こすことがあります。
- 短期的な影響: バリウム検査後、便秘が発生することは一般的です。この影響は通常一時的なもので、検査後数日以内に解消されます。
バリウム検査後の便秘を防ぐための予防法はあるの?
便秘を防ぐためには以下のような対策が推奨されます。
- 水分摂取: 検査前後には十分な水分を摂取することが重要です。
- 食物繊維: 食物繊維豊富な食事を摂ることで、便の軟化と腸の蠕動を助けることができます。
- 運動: 定期的な運動を行うことで、腸の蠕動を促進することができます。
- 下剤の使用: 検査終了後には下剤を内服していただきます。下剤の種類は腸の蠕動を促す「刺激性」の下剤となり、腸が渋り腹痛を伴うことがありますが、排便を促すことを優先しましょう。便秘がある方は、問診時に相談していただき、医師の指示に従い、必要に応じて下剤を増量使用することも検討されます。
普段から便秘がある方は問診時などに伝えておきましょう。
白い便が普通便に変わるまでは排便時に「便の色」の確認をしましょう
バリウム液が体外へ排泄されたことを確認するには、「便の色」をみると良いです。
一般的には下剤を内服して8−10時間後に排便がありますが、個人差があります。早く効く方もいれば、時間がかかる場合があります。便秘気味の方は、下剤の量について確認をした上で途中で追加しても構いません。24時間を目安に排便がない場合は、医療機関へ受診しましょう。
ひどい便秘がある場合は、内視鏡(胃カメラ)検査をお勧めします。
普通便に戻るまでは「アルコール」は控えましょう
飲酒をすることで、腸の蠕動を鈍らせてしまいます。排便が難しくなってしまう場合がありますので、飲酒は控えましょう。
授乳中の方は「放射線の被爆」に注意!体の負担を考えると胃カメラ検査がお勧め。
産後で授乳中の方は、乳腺の放射線の「被ばく」に注意が必要です。心配な方は内視鏡検査をお勧めします。
授乳制限がある場合(造影CT検査後等で薬剤を静注射した場合)
母乳にお薬が含まれてしまう恐れがります。
- 一時的な休止: バリウム検査を受けた後、母乳の安全性を確保するために、一時的に授乳を休止することが推奨される場合があります。通常は検査後24時間以内に母乳の安全性が回復するため、短期間の休止で済むことが多いです。
- 母乳の保存: 検査前に母乳を搾り、冷蔵または凍結しておくことで、検査中および検査後の短期間に子供に与えることができます。
授乳中の方は、母乳を1日あげないと胸が張って辛いと思いますので、別の検査方法を考えた方が無難かと思います。(胃カメラ検査がお勧めです)
バリウム検査の注意点を理解したうえで検査を選択しよう!
バリウム検査には、次のようなメリットがあります。
・胃の全体像を把握できる胃の動きを観察できる
・胃カメラ検査と比較して検査時間が短く、費用も安価である
・バリウムは基本的に体外へ排泄されるので体への害がない。
しかし、
・便秘
・気分不快
・アレルギー
・被爆
などのデメリットもあります。
理解したうえで検査を選択していただくことをお勧めします。
こちらの関連記事でも、バリウムについてのメリットデメリットについて詳しく紹介していますので参照ください。
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自分の健康は自分で守る!!!
あたなが1日でも長く健康な日々を過ごせますように…❤️
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